幼なじみの彼とわたし
「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど…、ごめん。大丈夫?」

いずみんが聞いてくる。
大丈夫なわけない。
でも強がりたい。
涙は我慢だ。


「うん、ショックだっただけ」

「それだけ?」

「ぶっちゃけて言うと、もっと早く自分の気持ちに気づいてたら何かかわったのかなぁとか。なんだかんだで初恋だったなぁとか?」


強がろうと思ったのにどんどん出てくる。
涙はこぼれ落ちてはないけど、たぶん目は赤いだろうな。
声が少し震えているのはどうしようもできない。

いずみんはわたしのほうを見て「うん、うん」と相槌をうちながら聞いてくれている。
取り皿に向けていた目線をいずみんにあわせると、いずみんはにこっと笑ってるみたい。


「…相手が誰なのか知りたくないの?」

「んーーー」


いずみん、知ってるんだね。
そしたらわたしも知ってる人かな。
聞くのが怖い、って言う気持ちが一番強い。


「知りたいような、知りたくないような。本当は知りたいけど知ってしまうと認めないといけないでしょ?それが怖いから、…本人から言われるまで知りたくないかな」

「亜衣紗ちゃんって、本当に…」


そこで言葉が途切れている。


「本当に…?」


とわたしが言うのと同時に、ぎゅっと抱きついてくる。
びっくりだ。
同じくらいの体格なのにぎゅっとされると包まれた感があって心地よい。
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