カッコウ
はじめて茂樹に抱かれたのは、みどりが3年生になってすぐだった。

1、2年の時は茂樹の授業を履修していたみどり。

3年になると茂樹の授業はなくなる。このまま終わりにしたくない。

みどりは大胆に行動する。
 

「先生、折り入って相談したいことがあるのですが。お時間を作って頂けますか?」

授業の合間、茂樹を訪ねる。
 
「どんな相談?」

茂樹は満更でもない顔でみどりに聞き返す。

2年間茂樹の授業を受けていたみどり。いつも前の席で茂樹を熱く見つめていた。試験も良い成績を取っていたから。

茂樹もみどりの好意は感じていたはず。
 
「その時に話します。」と俯くみどり。

茂樹は手帳を開いて日時を指定する。
 
「ありがとうございます。」

と礼をしてみどりは立ち去る。

心の中でガッツポーズをしながら。

約束さえ取り付ければ何とかなる。二人きりの時間さえ作れば。

茂樹が指定した日にちまでに、うまい相談を考えよう。
 


< 29 / 137 >

この作品をシェア

pagetop