【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。


「質問に答えてもらうわよ」


聞かれるのは、あのことだろう。


「あんた、黒羽根くんのなに?」


やっぱり。


この人たち、セロのファンだ。


昨日わたしはセロに手を引かれ、昼休み屋上までかけていった。


それが噂となり広まるのも時間の問題だ。


しかし早速呼び出しをくらうとは。


「友達、です」

「トモダチ? あんたみたいなのが、そばにいていいと思ってんの?」


追い払いたいのに寄り付くのはセロの方――と言い返してやりたくもなるが、火に油を注ぐようなもの。


そんなこと先輩相手に言う勇気もない。


「い、いけないですか?」

「いいわけないだろ!! 1年のくせに」


ガタンッ


先輩が、そばにあったイスを勢い良く蹴り倒す。


「……っ」


倒れたイスが、わたしの脚に当たった。
< 240 / 484 >

この作品をシェア

pagetop