【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
「ちょっと亜子、うちらにまで当てないでよー?」
「うるさいっ……! ちゃんとおさえておくのよ」
理不尽すぎる。
同級生と友達になってキレられるとか。
「もちろーん」
「任せて」
アコと呼ばれた彼女の目は据わっていて、わたしはヘビに睨らまれた蛙のように抵抗することができなくなる。
「王子はみんなのものなのに、抜け駆けしていいと思ってんの?」
たしかにセロは人気者だけど、縛るようなこというのはどうかと思う。
セロがどこで誰と話そうとセロの勝手だ。
「色目使って自分だけのモノにしようとしてんの?」
「ご、誤解です。わたしはセロのことそんな風に――」
「あんたみたいなのが、気安く王子を呼び捨てにするんじゃない!」
ダメだ、この人……
わたしの話に聞く耳をもたない。