Keeper.ll
『はやいな。』
「里香ちゃんも見てる側からしたらあれくらい速かったよ……、望くんには失礼だけど里香ちゃんの方が速かったかも。」
『まじか、』
「まじだよ。」
『やっぱ主観じゃ分からないこともあるね』
「今の会話でそんなフレーズが出るとは思わなかったよ、リレーの話だよ?」
おかしいと言うように笑う千歩はやはり帯刀と同じように花が舞い散る程に可愛らしい笑い方をしている。小さい花が咲く感じ。帯刀といい千歩といいなんで暴走族なんてやっているのだろう。
そういう私は【あの人】に里香が笑うと大輪の花っぽいよねと言われたが。なんだそれは。勝手だが悪役系のキャラクターにそんなイメージがあったせいでそれほどまで喜べなかったことが悔やまれる。
「おっ、望くんお疲れ様!」
『お疲れ〜速かったね』
「ありがとうございます。そうですかね?里香さんよりは遅いと思いますが。」
『別にそんなに謙遜しなくても……あとは千歩だね。』
「うんー、今クラス1位じゃん?プレッシャーって感じでドキドキしてきた……」
『大丈夫だよ。』
「そうですって。ビリになっても誰も攻めませんよ。」
「いや、ビリは避けたい」
『気楽に走れば大丈夫。』
「うう……」
そんなことを言いつつ千歩も走るのが早かった。バトンを受けてからたったかと走っていく姿は本当に軽やかで特別心配するようなことはなかっただろうに。それを千歩に伝えたら「誰だって里香ちゃんの走りを見たら心配になると思うよ」と言われた。
千歩は私のことを買いかぶっている節がある。
ちなみに走るのに早かったねと告げれば嬉しそうに笑っていた。