異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
「陛下。わたくしは、この子が努力する姿を見てきましたわ。ここにあるスイーツ、この子がパティシエを発見して、お店を持つ手伝いをしたのはご存じ? この国になかった材料も、アルファートが物質変化の魔法で作ったのよ。スイーツが広まってから、国民がみな満たされた顔をしていること、ここにいる誰かひとりでも知っていました? それは間違いなく、アルファートが引き出したものです」

 ひそひそと会話をしていた王族も、王妃さまの言葉にうつむき、口をつぐんだ。

「他国から身を守るだけが、王族の魔法ではありません。この子が兄ふたりとは違う魔法を持って生まれてきたのは、この国をもっと豊かにするためなのではないでしょうか。その証明が、今ここにあるスイーツですわ」

 そう言い切った王妃様は、静かな眼差しで国王陛下を見つめた。

 ぱちぱち、とどこからか拍手が起こる。それは瞬く間に大きな歓声に変わった。

「今日のスイーツ、素晴らしかったですわ。これが第三王子の功績だなんて」
「ああ。見る目が変わったな」
「土地改良が本当に実現したら、歴史的大快挙じゃなくって?」
「許可を与えない理由なんてないだろう」

 聞こえてくる、アルトさんを後押しする声に、私は胸がいっぱいになっていた。

「くっ……」

 第一王子と第二王子は、悔しそうに歯を食いしばっていた。

「――静粛に」

 国王陛下が声を出すと、さあっとざわめきが引いた。

「今あった、アルファート第三王子の話だが……。許可を与える」

 みんなが注目する中、やっとアルトさんの望む言葉を引き出すことができた。

「ただし、ひとりで成果をあげられるまでは研究者は貸さない。それでもできるのか?」
「はい、もちろんです。やってみせます」

 アルトさんは、力強くうなずく。
 陛下は深い眼差しでアルトさんをじっと見ていて――これから親子の関係が変わっていくことに、期待してもいいのかな。

 こうして、思いがけない収穫をもって、アルトさんの生誕祭は幕を下ろした。

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