異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
そしていよいよ、最終日。アルトさんとの約束の日だ。
「いやあ、三日間よく売ったなあ。こんなにメレンゲを泡立てることは、人生でもうないだろうな」
とっぷり日も暮れ、お客さんたちの行列もはけたころ、料理長さんがしみじみとつぶやいた。
「本当にお疲れさまです。私も、三日間で一生分くらいパンケーキを焼いた気がします」
あれだけたくさん作り置きしたタピオカもアイシングクッキーも、もうない。生クリームやベリーのトッピングも切れてしまったが、最終日ということで「パンケーキのはちみつがけでもいいなら……」とまだお店を開いている。
閉会式に向けてまだまだ人はいるけれど、だいたいの人はお城のまわりに並び始めているので、広場は少し静かになった。
「もうすぐ閉会式だな。その前に、腹減らないか? 俺たちのぶんのパンケーキも焼いちまおうぜ」
「いいですね」
三日間作り続けたパンケーキだけど、自分たちのために作るのはちょっとわくわくする。焼き立てのふわふわパンケーキに、はちみつをかけて料理長さんといただいた。
パンケーキなのに噛んでるという実感があまりなく、生地がしゅわっと溶けてゆく。
「う~ん、ふわっふわですね!」
「口の中で溶けるような食感がたまらねえな。やっぱり、焼き立てを食べるのがベストだ。店で売るのは難しいから、屋台で出せて正解かもな」
「料理長さん、そのことなんですけど……」
私はずっと考えていた、ミレイさんから言われた『サロン的な店にする』計画を料理長さんに話した。今までは、厨房スタッフを雇うのにも不安があったけれど、もし王宮料理人のだれかが応援に来てくれたらすごく心強い。
「……それで、カフェスペースを増やして、私はイートイン注文のお客さまの接客に回れたらなと。その場で食べるメニューでしたら、パンケーキも入れられますし」
「なるほどな。例えばカフェスペースの利用は午後だけとか時間を決めて、増員する時間だけエリーさんが接客に回るのはいいかもな。確かにそれは、俺たちには考えつかないアイディアだ」
「そうですよね、私にも考えつきませんでした。でも、お客さまが必要としてくれるなら、やってみたいと思ってて。まだ、頭の中にあるだけだったんですけど」
人に話すのは初めてのことだったので、なんだか照れくさい。バレンタインのあとでアルトさんとベイルさんに相談しようと思って、できていなかったから。
「いいんじゃないか。生誕祭が終わったら、王子にも話してみるといい。厨房スタッフも日替わりでいいんだったら、俺たちが手伝いに行ってやるぜ。あいつらにもいい勉強になるだろうしな」
「わあ、ありがとうございます!」
これで、実現に一歩近づいた。今回料理長さんに出会えたことは、本当に収穫だったと思う。……ということはやっぱり、生誕祭に呼んでくれて、お祭りの前から王宮の厨房を使わせてくれたアルトさんのおかげなのか。
「いやあ、三日間よく売ったなあ。こんなにメレンゲを泡立てることは、人生でもうないだろうな」
とっぷり日も暮れ、お客さんたちの行列もはけたころ、料理長さんがしみじみとつぶやいた。
「本当にお疲れさまです。私も、三日間で一生分くらいパンケーキを焼いた気がします」
あれだけたくさん作り置きしたタピオカもアイシングクッキーも、もうない。生クリームやベリーのトッピングも切れてしまったが、最終日ということで「パンケーキのはちみつがけでもいいなら……」とまだお店を開いている。
閉会式に向けてまだまだ人はいるけれど、だいたいの人はお城のまわりに並び始めているので、広場は少し静かになった。
「もうすぐ閉会式だな。その前に、腹減らないか? 俺たちのぶんのパンケーキも焼いちまおうぜ」
「いいですね」
三日間作り続けたパンケーキだけど、自分たちのために作るのはちょっとわくわくする。焼き立てのふわふわパンケーキに、はちみつをかけて料理長さんといただいた。
パンケーキなのに噛んでるという実感があまりなく、生地がしゅわっと溶けてゆく。
「う~ん、ふわっふわですね!」
「口の中で溶けるような食感がたまらねえな。やっぱり、焼き立てを食べるのがベストだ。店で売るのは難しいから、屋台で出せて正解かもな」
「料理長さん、そのことなんですけど……」
私はずっと考えていた、ミレイさんから言われた『サロン的な店にする』計画を料理長さんに話した。今までは、厨房スタッフを雇うのにも不安があったけれど、もし王宮料理人のだれかが応援に来てくれたらすごく心強い。
「……それで、カフェスペースを増やして、私はイートイン注文のお客さまの接客に回れたらなと。その場で食べるメニューでしたら、パンケーキも入れられますし」
「なるほどな。例えばカフェスペースの利用は午後だけとか時間を決めて、増員する時間だけエリーさんが接客に回るのはいいかもな。確かにそれは、俺たちには考えつかないアイディアだ」
「そうですよね、私にも考えつきませんでした。でも、お客さまが必要としてくれるなら、やってみたいと思ってて。まだ、頭の中にあるだけだったんですけど」
人に話すのは初めてのことだったので、なんだか照れくさい。バレンタインのあとでアルトさんとベイルさんに相談しようと思って、できていなかったから。
「いいんじゃないか。生誕祭が終わったら、王子にも話してみるといい。厨房スタッフも日替わりでいいんだったら、俺たちが手伝いに行ってやるぜ。あいつらにもいい勉強になるだろうしな」
「わあ、ありがとうございます!」
これで、実現に一歩近づいた。今回料理長さんに出会えたことは、本当に収穫だったと思う。……ということはやっぱり、生誕祭に呼んでくれて、お祭りの前から王宮の厨房を使わせてくれたアルトさんのおかげなのか。