異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
「ごちそうさん。エリーさん、そろそろ休憩に行っていいぜ。閉会式が始まる前に、いい場所取りたいだろ。このぶんだともう客は来ないだろうから、ここは俺ひとりでも平気だ」
「はい。それじゃ、行ってきます」
ランプを吊っていた屋台から出ると、夜の暗さに驚いた。お祭りも二日目は夕方前に終わっていたし、今まで夜に出歩いたことがなかったから。
電気がないから日本より暗いのは当たり前だけど、それがこんなに心細い気持ちになるものだなんて知らなかった。
ぽつぽつとついている屋台のランプや、広場にあるガス灯のほのかな明かりが蛍みたいに見える。でも、こんなに暗い夜だから、星がよく見える。この世界の星座はまだひとつも知らないけれど、勉強してみようと思った。
堀のまわりに集まっている人たちをかき分け、大勢の視線を感じながら身を小さくして跳ね橋を渡る。門番さんに「アルファート王子との約束で……」と告げると、「ああ、聞いてますよ。どうぞ」とあっさり通してくれた。
門をくぐって、左右対称に整えられた広い庭園をまっすぐ進むと、大きな噴水が見えてきた。アルトさんが言っていた場所は、ここで間違いないだろう。
ふう、と噴水の縁に腰を下ろそうとすると、ベイルさんの呼び声が近くから聞こえてきた。
「エリーちゃん?」
暗い中目をこらすと、近くにある植木の陰にベイルさんがいた。
「ベイルさん。なんでこんなところに?」
そばに寄ると、ベイルさんの足元には火薬玉がいくつも落ちていた。しかも、木と木の間に隠すように置かれているのは、大砲――!?
「ベイルさん、こ、これって、大砲と砲弾ですよね」
「ああ、ちょっと閉会式の余興でね。倉庫にあったのを拝借してきたんだ。あぶないことに使うわけじゃないから安心して」
「そうなんですか……?」
開会のときにはファンファーレが演奏されたけど、閉会のときは大砲の音を鳴らすのだろうか。こんなに植物がいっぱいあるところで打って、本当に危険ではないのだろうか。
「私にはよくわからないですけど……、怪我しないように気を付けてくださいね」
「うん、エリーちゃんも。危険はないけれど、音が大きいかもしれないからあんまり近くには来ないようにね。俺は耳栓をするから平気だけど」
「わかりました」
なんとなくベイルさんに話しかけられず、噴水の縁に座ってじっと待っていると、お城のバルコニーにぱっと灯りがついた。
その瞬間、待っていた人たちがわあぁ、と歓声をあげる。少し離れた場所にいても空気が震えるのがわかった。
「はい。それじゃ、行ってきます」
ランプを吊っていた屋台から出ると、夜の暗さに驚いた。お祭りも二日目は夕方前に終わっていたし、今まで夜に出歩いたことがなかったから。
電気がないから日本より暗いのは当たり前だけど、それがこんなに心細い気持ちになるものだなんて知らなかった。
ぽつぽつとついている屋台のランプや、広場にあるガス灯のほのかな明かりが蛍みたいに見える。でも、こんなに暗い夜だから、星がよく見える。この世界の星座はまだひとつも知らないけれど、勉強してみようと思った。
堀のまわりに集まっている人たちをかき分け、大勢の視線を感じながら身を小さくして跳ね橋を渡る。門番さんに「アルファート王子との約束で……」と告げると、「ああ、聞いてますよ。どうぞ」とあっさり通してくれた。
門をくぐって、左右対称に整えられた広い庭園をまっすぐ進むと、大きな噴水が見えてきた。アルトさんが言っていた場所は、ここで間違いないだろう。
ふう、と噴水の縁に腰を下ろそうとすると、ベイルさんの呼び声が近くから聞こえてきた。
「エリーちゃん?」
暗い中目をこらすと、近くにある植木の陰にベイルさんがいた。
「ベイルさん。なんでこんなところに?」
そばに寄ると、ベイルさんの足元には火薬玉がいくつも落ちていた。しかも、木と木の間に隠すように置かれているのは、大砲――!?
「ベイルさん、こ、これって、大砲と砲弾ですよね」
「ああ、ちょっと閉会式の余興でね。倉庫にあったのを拝借してきたんだ。あぶないことに使うわけじゃないから安心して」
「そうなんですか……?」
開会のときにはファンファーレが演奏されたけど、閉会のときは大砲の音を鳴らすのだろうか。こんなに植物がいっぱいあるところで打って、本当に危険ではないのだろうか。
「私にはよくわからないですけど……、怪我しないように気を付けてくださいね」
「うん、エリーちゃんも。危険はないけれど、音が大きいかもしれないからあんまり近くには来ないようにね。俺は耳栓をするから平気だけど」
「わかりました」
なんとなくベイルさんに話しかけられず、噴水の縁に座ってじっと待っていると、お城のバルコニーにぱっと灯りがついた。
その瞬間、待っていた人たちがわあぁ、と歓声をあげる。少し離れた場所にいても空気が震えるのがわかった。