異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
そうして、王妃、第一王子、第二王子の順にバルコニーに出て挨拶をする。
王妃さまは綺麗な人だったけれど、夫に逆らえないという噂通り、控えめでおとなしそうな人だった。
第一王子の話し方は簡潔で堂々としていたけれど、なんだか血の通っていない感じ。第二王子のほうがまだ明るい印象ではあったけれど、人を受け付けない厳しさは感じられた。
そして、アルトさんの番だ。第二王子が部屋の中に引っ込んで、入れ替わりでアルトさんが出てくる。昼のパレードとは違って、明るいグレーのフロックコートを着ていた。
(アルトさん、がんばって!)
ここにいることが他の人にバレていいのかどうかわからなかったから、小声で応援を送る。それでもアルトさんは、私に気付いてくれたみたいだ。目が合ったとたん、ふっと微笑んでくれた。
「……閉会式のために準備していたものがあります。私から国民の皆さんへの、感謝の気持ちです」
今までの王族とは違う、形式通りではない言葉に広場がざわめく。
「上空に、ご注目ください」
アルトさんが人差し指を上に向けた瞬間、ベイルさんのいた方向から、どおぉぉぉん……と、大きな音が鳴り響いた。
「……っ!」
言われていた通り近くには寄らなかったけれど、それでも鼓膜を震わせるような衝撃に、耳を押さえる。でも次の瞬間夜空がぱっと明るくなり、私はここが王宮庭園だということも忘れて目を奪われていた。
「えっ……」
夜空に咲く、大輪の花。大きな音と共に花開く、赤や青、黄色の光。
「これは……花火?」
日本で見慣れたものよりは小さくて、花びらの数も少ない光ではあるけれど、それは紛れもなく花火だった。
この世界に、いや、この国に花火なんてあっただろうか。
私と同じように花火にぽかんとなっていただろう人々が、我に返ったように歓声をあげた。
王妃さまは綺麗な人だったけれど、夫に逆らえないという噂通り、控えめでおとなしそうな人だった。
第一王子の話し方は簡潔で堂々としていたけれど、なんだか血の通っていない感じ。第二王子のほうがまだ明るい印象ではあったけれど、人を受け付けない厳しさは感じられた。
そして、アルトさんの番だ。第二王子が部屋の中に引っ込んで、入れ替わりでアルトさんが出てくる。昼のパレードとは違って、明るいグレーのフロックコートを着ていた。
(アルトさん、がんばって!)
ここにいることが他の人にバレていいのかどうかわからなかったから、小声で応援を送る。それでもアルトさんは、私に気付いてくれたみたいだ。目が合ったとたん、ふっと微笑んでくれた。
「……閉会式のために準備していたものがあります。私から国民の皆さんへの、感謝の気持ちです」
今までの王族とは違う、形式通りではない言葉に広場がざわめく。
「上空に、ご注目ください」
アルトさんが人差し指を上に向けた瞬間、ベイルさんのいた方向から、どおぉぉぉん……と、大きな音が鳴り響いた。
「……っ!」
言われていた通り近くには寄らなかったけれど、それでも鼓膜を震わせるような衝撃に、耳を押さえる。でも次の瞬間夜空がぱっと明るくなり、私はここが王宮庭園だということも忘れて目を奪われていた。
「えっ……」
夜空に咲く、大輪の花。大きな音と共に花開く、赤や青、黄色の光。
「これは……花火?」
日本で見慣れたものよりは小さくて、花びらの数も少ない光ではあるけれど、それは紛れもなく花火だった。
この世界に、いや、この国に花火なんてあっただろうか。
私と同じように花火にぽかんとなっていただろう人々が、我に返ったように歓声をあげた。