異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
* * *
「エリーちゃん、気分はどう?」
扉をノックする音で目を覚ますと、ベイルさんが朝食を持って様子を見に来てくれた。
あのあとまたひと眠りしたようで、窓の外が明るくなっていた。ベッドサイドテーブルには水差しと薬が置いてあって、寝ている間にメイドさんが薬を飲ませてくれたみたいだ。おかげで身体がだいぶ楽になっていた。
お礼を言って、朝食のトレイを受け取る。メニューはサンドイッチとサラダ、スープとティーポット入りの紅茶で、厨房のみんなが作ったものだと思うとなんだかホッとする。
「はい、だいぶいいです。頭痛も軽くなったし」
「熱がなければ、今日中に家に送り届けてあげられそうだね。それとも心配だったら、もう一日ここに泊まっていく?」
「い、いえ! 今日は帰ります!」
昨夜は朦朧としている状態だったからよかったけど、しらふでこんなところ泊まったら一睡もできない、と慌てて断る。ベイルさんは不思議そうな顔で「そう?」と首を傾げていた。
「ベイルさんがここまで運んでくれたんですよね? すっかり迷惑をかけてしまってすみません」
「いや、もとはといえば殿下と俺のせいだから……。エリーちゃんをこんな目に遭わせてしまって、本当にごめん」
泣きそうな顔で、深々と頭を下げられた。
「そんな。おふたりは私を助けてくれたじゃないですか。こうして無事元気になったんだし、気になさらないでください」
「……そう言ってもらえると、助かるけど。エリーちゃんをこんな目に遭わせた自分のことは、なかなか許せそうにないなあ……」
ベイルさんは「俺があのときもっと迅速に水をかけていれば」とか「騎士団で火災訓練もしていたのに」とかぶつぶつつぶやいている。
私だって前世で避難訓練も消火器訓練も受けていたのに、いざ自分が消火される立場になると腰が抜けて一歩も動けなかった。
そんな中、とっさに水をかけてくれたベイルさんも、距離のあるバルコニーから魔法を使ってくれたアルトさんもすごいと思うのに。
湯気をたてるポタージュスープに口をつける私を、ベイルさんは立ったまま黙って眺めていた。
「そういえば殿下は、お見舞いに来た? 昨夜、閉会式が終わってすぐにかけつけたみたいだけど」
朝食を食べ終わるまでずっとそばにいてくれたベイルさんが、ティーポットから紅茶を注ぎながら尋ねる。
「わ、わからないです……」
ぎくっとして、嘘をついてしまった。そもそも寝たふりをしていたのだから、私が知っていたらおかしい。
「エリーちゃん、気分はどう?」
扉をノックする音で目を覚ますと、ベイルさんが朝食を持って様子を見に来てくれた。
あのあとまたひと眠りしたようで、窓の外が明るくなっていた。ベッドサイドテーブルには水差しと薬が置いてあって、寝ている間にメイドさんが薬を飲ませてくれたみたいだ。おかげで身体がだいぶ楽になっていた。
お礼を言って、朝食のトレイを受け取る。メニューはサンドイッチとサラダ、スープとティーポット入りの紅茶で、厨房のみんなが作ったものだと思うとなんだかホッとする。
「はい、だいぶいいです。頭痛も軽くなったし」
「熱がなければ、今日中に家に送り届けてあげられそうだね。それとも心配だったら、もう一日ここに泊まっていく?」
「い、いえ! 今日は帰ります!」
昨夜は朦朧としている状態だったからよかったけど、しらふでこんなところ泊まったら一睡もできない、と慌てて断る。ベイルさんは不思議そうな顔で「そう?」と首を傾げていた。
「ベイルさんがここまで運んでくれたんですよね? すっかり迷惑をかけてしまってすみません」
「いや、もとはといえば殿下と俺のせいだから……。エリーちゃんをこんな目に遭わせてしまって、本当にごめん」
泣きそうな顔で、深々と頭を下げられた。
「そんな。おふたりは私を助けてくれたじゃないですか。こうして無事元気になったんだし、気になさらないでください」
「……そう言ってもらえると、助かるけど。エリーちゃんをこんな目に遭わせた自分のことは、なかなか許せそうにないなあ……」
ベイルさんは「俺があのときもっと迅速に水をかけていれば」とか「騎士団で火災訓練もしていたのに」とかぶつぶつつぶやいている。
私だって前世で避難訓練も消火器訓練も受けていたのに、いざ自分が消火される立場になると腰が抜けて一歩も動けなかった。
そんな中、とっさに水をかけてくれたベイルさんも、距離のあるバルコニーから魔法を使ってくれたアルトさんもすごいと思うのに。
湯気をたてるポタージュスープに口をつける私を、ベイルさんは立ったまま黙って眺めていた。
「そういえば殿下は、お見舞いに来た? 昨夜、閉会式が終わってすぐにかけつけたみたいだけど」
朝食を食べ終わるまでずっとそばにいてくれたベイルさんが、ティーポットから紅茶を注ぎながら尋ねる。
「わ、わからないです……」
ぎくっとして、嘘をついてしまった。そもそも寝たふりをしていたのだから、私が知っていたらおかしい。