eternal〜守りし者〜
悠奈は母として最後の役目だと言い、おさじに代わり将季の腕の傷に包帯を巻いた。


『将我様亡き後…ここでの私のお役目はもう何も御座いません。貴方様もご立派になられました。良き仲間にも恵まれた様で…。母として、してあげられる最後の手当てに御座います。』


そう言って穏やかな顔で包帯を巻く悠奈に将季は黙って耳を傾けた。


『将季様がお戻りになられる少し前…殿は私にこう申された…。私の名を呼び"すまなかった"と…。それだけに御座います。』


微笑む悠奈。


『それでも…"すまなかった"…。そのお言葉1つに込められた想いというものが、とても伝わって参りました。何もかも報われた様な…これで私のお役目は終わるのだと…そう思いました。この城へ来てからというもの、自分の居場所を探す日々の中で幼くして母君を亡くされた貴方様のお世話をする事だけが私のお役目なのだと…私なりに尽くして参ったつもりでした。ですが、あろう事かそんな貴方様をお慕いするようになってしまい…今となっては殿に申し訳無く思います。貴方様にも…。殿はご自分の最期を見据えて、貴方様がお1人で悲しまずに済む様…私はお側で寄り添える母でなければならなかったのに…。どこで間違えてしまったのでしょう…。』

悠奈は包帯を縛り終えると、きちんと座り直し両手をついて頭を下げた。

『至らぬ母で…お役に立てず…申し訳御座いません。お役目を全う出来ぬまま…それでも、この悠奈の我儘を受け入れては御座いませんでしょうか…。』


『……………。』


『…城を去り、出家しとう御座います。』
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