eternal〜守りし者〜
『名は?』

『……鈴。』

『幾つだ?』

『………8つの時…妹が攫われた。おとっうもおっかぁも殺された。…それから2度めの桜だ。』

川沿いに咲く夜桜が月明かりの中ひらひらと舞った。淡々と話す鈴、笑う事を忘れ心に傷を負った少女。


『俺に着いて来るか…鈴。』


鈴は佐護路の目をしっかり見た。


『女でも強くはなれる。』


『……子供でも?』


『あぁ。生きる事さえ諦めなければな。』


鈴が桜の木に手を当て見上げた。


『もう…心は死んだ…でも…身体は生きようとする…。だから苦しい…それでも…。』


10歳の娘から放たれた言葉は佐護路の胸に突き刺さった。


『ならばその命、俺に預けてみろ。』


そう言って佐護路は鈴に妖術をかけた。辛い記憶を消してやったのだ。


『いいか?これからお前は将軍様をお守りする為に生きるんだ。着いて来い鈴。』





呼遙を前に、鈴は佐護路によって消された全ての記憶を思い出した。


『……殺された?』


呼遙は自分だけが哀れな人生を生きてきたと思っていた。あろう事か、同じ忍びとして生きた人生…呼遙は生きる事への絶望、それでも生かされる事へ苦しみに踠きながらこれまで多くの者を殺めてきた。
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