eternal〜守りし者〜
それから20日後…鈴は権蔵と共に呼遙が眠る山へと向かった。暖かい日の光りが差し込み川の水面が煌びやかな春の日に桜は満開の花を開かせていた。

『…綺麗。』

桜の木を見上げた鈴に呼遙を重ね見る権蔵。

『……ん?どうしたんです?権蔵さん。』


『あぁ…いや…本当に瓜二つじゃ。泣き顔も、笑みも…。』

優しく笑う権蔵に鈴もこう言った。

『権蔵さんも。師匠と同じ顔をします。優しくて…悲しい笑顔。』

『……優しくて…悲しい…?』

『時々そういう顔をします。師匠は凄く厳しくて、修行中はずっと怖い顔してる鬼みたいで…。なのに、師匠が笑うと悲しくなる。滅多に見れない笑顔に嬉しくなると同時に寂しくなる…そんな顔…。だけど権蔵さんが戻ったあの日の笑顔は本物だったと思います。』

『……そうか。お互い、血は争えぬという事か……。』

鈴は呼遙の墓に手を合わせると呼遙に心で話しかけた。

権蔵は鈴に背を向け水面に指先をつけた。


『権蔵さん…。師匠は、私をここで拾った事…後悔しているのでは無いでしょうか…。』


『…何故そう思う?』


『私が殿と一緒になる事を良く思っていない様に感じていて…。最近は、もう見て見ぬ振り…と言いますか…。やはり、これまで幾日も何年も修行で育ててきた弟子が本来お守りせねばならぬ殿と一緒になり忍びの道から退くというのは親不孝なのでしょうか…。それは、裏切りにはなりませぬか?』
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