eternal〜守りし者〜
そして時は流れ、鈴は元気な男の子を産んだ。それが城中へと伝わる頃…将季はその手で我が子を抱き上げた。

『……鈴…良くやった…ありがとう…。』


我が子を優しく見つめる将季の顔が愛おしく思うのと同じくらい愛しい我が子の誕生に鈴は胸いっぱいであった。


『…この子に、名を。』


鈴がそう言うと、将季はこう答えた。


『……しょうご…。』


『……しょうご…?』


『…そうだ。俺の将という字に、鈴の妹の名を取って将呼(しょうご)。…この子は、呼遙の生まれ変わりだ。今度は俺らで必ず幸せを与えてやりたい…。』



鈴はそれに涙した。



『いぃ…お名前を…頂きましたね…将呼。』


鈴はそう言って赤子の頬を撫でた。


のちに、2人は沙莉(さり)と名付けられた姫も授かった。


字は違えど沙莉姫の"さ"は佐護路の"さ"から"り"はお凛の"り"を取ったのだと、鈴が将季にだけ打ち明けた。


そして、将季が28歳を迎えた頃…。

再び駿流美にとって大きな合戦を迎える事となる。この戦を制した者が天下人となる大事な戦であった。戦の無い世を目指すにはこの争いを避ける訳には行かず…皆が命懸けの決戦であった。この戦に負けて天下人の座を奪われるという事は、戦の無い世になったとしても将季の首を取られるという事。そして、駿流美の地で暮らす者達が藤原(ふじわら)軍 冴羽 克徳(さえば かつのり)によって、莫大な年貢を納める事になり、穏やかな暮らしぶりを激変させてしまう事となるのだ。
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