ノクターン
「麻有ちゃんは、どう思う?」
お母様は いつも私を気遣ってくれる。
「私も、ささやかな方がいいです。」
私は控えめに答える。
「軽井沢で、式を挙げてもいいね。」
お父様は 思いがけない事を言う。
「それなら、東京からも 身内だけ招待する理由ができるだろう。」
「ああ、良いわね。どこか素敵なチャペルで式を挙げて ホテルで披露宴をして。招待した人には 泊まってもらえば。」
とお母様も笑顔で言う。
「軽井沢には、チャペルもたくさんあるでしょう?」
お母様が 私を見る。
その時、私の胸に ある光景がうかんだ。
ふと、智くんを見ると 多分同じ事を考えていたと思う。
「石の教会」
智くんは、私を見て言う。
私も智くんを見て頷く。