ノクターン
智くんに選ばれ、愛されたことで 私のすべてが満たされていく。
私は、身震いするほどの感謝と 智くんの愛を守り続ける責任を感じる。
二人が、この先変わることのない愛を保ち続けるために 私ができる事は何か。
驕ることのない、謙虚な自分を維持するために。
「智くんが、一生懸命働いたお金だから 大切に使うね。二人の健康を考えて 体に良い食材を使ったり。お料理も もっと勉強するからね。」
感動と感謝を 言葉にすることは難しい。
うまく言えずに 私は焦れる。
「麻有ちゃん、ありがとう。やっぱり麻有ちゃんは 最高に可愛いよ。」
でも、智くんは私の気持ちを理解してくれた。
愛のこもった目で 私を見つめて抱きしめた。
それから 通帳の定期預金のページを開き
「今までの賞与を定期にしてあるよ。何かあれば、これも使えるからね。」
「智くんが貯めたの?」私は少し驚く。
「実家暮らしだったから。ほとんど使わなかったし。麻有ちゃんとの 結婚資金にしようと思っていたけど。結婚に係るものは 親父が全部用意したいって言うから。指輪もカードで買ったし。結納や結婚式の費用も、全部 親父が準備するって言っているから。」