ノクターン
39

智くんのリクエスト通り、その後みんなで 中華レストランに行く。


豪華な中華料理は お節に飽きたみんなの食を進める。
 


話題は、やっぱり私達の結婚式の事になり
 

「あの。一つだけ、お願いがあるんですけど。」


衣装の話しになったときに 私は、遠慮がちに言う。
 

「何でも、言って。」

普段から あまり主張しない私の言葉に、みんなが耳を傾けて。
 

「あの。私、お色直しをしなくても 良いでしょうか。何度も席を立つのがいやで。」
 

「また、麻有ちゃんは 欲がないから。でもいいんじゃない。ずっと花嫁さんがいたら 華やかだし。」

お母様は、私の気持ちを 尊重してくれる。
 

「廣澤家の結婚式で 恥ずかしくないですか?」

私が聞くと、お父様は笑いながら
 
「廣澤家、って言ってもね。普通の家だから。そんな事、気にしなくていいよ。」

と言ってくれる。
 


「記念だから 別の日に 和装の写真を撮っていただいたら?」

とお姉様が言う。
 
「そうよ。50才になったら 花嫁衣裳は着られないわよ。」

とお母様も笑う。



智くんを見ると、笑って頷いてくれる。


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