ノクターン
「それなら、麻有ちゃん。飛び切り上等なドレスを作りなさい。俺達からのプレゼントだよ。」とお父様が言う。
「そんな。」と私が気後れすると、
「麻有ちゃん。私も、ドレス作って頂いたのよ。」
とお姉様が言ってくれる。
「それ、貸そうか?」とお兄様が言って
「紀之。」「紀之さん」「兄貴」
とみんなに叱られる。
「冗談だよ。」
みんなの笑い声に なぜか樹くんも反応して笑う。
「ドレスは、仕立てるのに時間がかかるから 早めに決めた方がいいかも。」
お姉様のアドバイスは ありがたい。
「ねえ、明日 見に行きましょうよ。あなた達、まだお休みでしょう。」お母様の言葉に
「せっかくだから、俺達も付き合うよ。まだ休みだし。経験者が一緒の方が 何かと便利だろう。」
とお兄様とお姉様が 笑顔で頷く。
「じゃあ、俺も行かない訳にはいかないだろう。」
お父様が言い。
私達はみんなで笑う。
「麻有ちゃん、大丈夫?」
智くんは 早い展開に戸惑う私を 心配して聞いてくれる。
「もちろん。ありがとうございます。夢みたい。」
私は少し、涙ぐむ。