ノクターン
44

翌週の結納は、家族揃って 賑やかで温かな時間になった。


お兄様のワンボックスカーで 軽井沢に向かう。


車の中でも 話しは弾んで。

あっと言う間に 軽井沢に着く。
 

私は 今日も例の白いワンピースで。

智くんに勧められた事を話すと
 

「私も、麻有ちゃんに その服を着てねって言うつもりだったの。バタバタしていて 忘れちゃったけれど。」

とお母様が言う。
 
「麻有ちゃん、初々しくて 良く似あうのよ。そのワンピース。」

とお姉様も言ってくれる。

智くんは、得意気に微笑む。
 


「麻有ちゃんのお父さんとお母さんに 見せてあげたくて。」

お母様は いつも優しい。
 
「きっと、白は汚すと大変だって言います。仕事柄。」

私の言葉に みんなは温かく笑う。
 

「麻有ちゃんのお父さん、すごく腕が良くて。私、わざわざ東京から持って行って お願いした事あるのよ。」

初めて聞く話しで。
 

「えー。知らなかった。ありがとうございます。今更ですが。」

私が言うと
 
「麻有ちゃん、本当に可愛い。」

とお姉様が笑顔で言う。
 

「何だか、本当の妹とか、気の合う従姉妹みたいな気がするの。」
 
「嬉しい。私も、いつも頼ってしまって。ずっとお姉さん欲しかったから。」

お姉様と私の言葉に お父様は笑顔で
 


「こんな良い子達が嫁って、うちは幸せだね。しかも仲良くしてくれて。」と言う。
 
「お父さん、それは、息子達の功績です。」


今日も、お兄様は明るい。



しかも、運転までしているのに。

 
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