ノクターン

少し早めに着いたので、結婚式をするチャペルを お兄様達に見て頂く。
 

「わあ、素敵なチャペル。神聖で荘厳で。智之さん達に ピッタリね。」

お姉様は 温かく言ってくれる。
 

「智之。何でこの教会、知っていたの?」

お兄様は鋭い。
 
「子供の頃、麻有ちゃんと散歩していて 迷い込んだの。その時、ちょうど結婚式していて。」

智くんは 少し恥ずかしそうに言う。
 

「へえ。よっぽど印象的だったのかな。20年後の夢にする程だから。」

お兄様は 明るいだけではなく 深い洞察力もあり。
 

「結婚式見たの、初めてだったからね。」
 
「でも、この雰囲気なら 印象に残るかもしれない。すごく神聖な空間だから。」



石を積み上げた建物の中、水音が聞こえて。

祭壇の後ろから 光が差し込む。

本当に厳かで 神々しい空間。
 

「花嫁さんは あそこから降りて来るらしいよ。お父さんと。」

座席の上部を ぐるりと回るバージンロード。


私は、父の背中を見て歩きながら 泣かずに智くんまで たどり着けるのだろうか。
 


「素敵。本当に。いいわ。」

お姉様が言い お兄様も頷いてくれる。
 


「遠くまで 申し訳ありませんが よろしくお願いします。」

私が言うと
 
「こちらこそ。楽しみだわ。」

とお姉様は答えてくれる。


そして、私達は ホテルにもどる。
 
 
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