王子様に恋をした
お茶会当日

私はお兄様のアンソニーにエスコートされ、王宮へと足を踏み入れました。

お城の従者に連れられサロンへ入室すると、あまりの煌びやかさに目を奪われ、すっかり淑女を忘れてキョロキョロしてしまう。

「アイリーン、淑女は?陛下の御前だよ?」

とお兄様に言われ、慌ててスカートを摘みカーテシーをしました。

「シェヴェルディア伯爵令嬢アイリーンでございます。本日はお招きいただき光栄に存じます。」

「これはこれはアイリーン嬢。ようこそおいで下さった。楽しい時間を過ごしてくれるかな?」

「陛下、お招きありがとう存じます。」

私の目線まで腰を折りお話下さる国王陛下は、とても優しい面立ちで、ふんわりと笑いかけて下さいました。


私は空いている席に腰をかけ、テーブルの上の美味しそうなお菓子に手を伸ばす。

「これ美味しいわ〜。頬が落ちそうよ~。う〜ん…どうやって作ってあるのかしら?」

あれもこれもと手を伸ばし、美味しいお菓子を堪能していた私は、王太子様がサロンにお越しになっているのに全く気がついていませんでした。

隣りに座るお兄様の周りには、綺麗に着飾った子達が次から次へと挨拶に来られ、お兄様は、

「ありがとう。」

と笑顔であしらっていらっしゃいました。

「アンソニー様 そちらの方は?」

と聞かれ、

「妹のアイリーンと申します。」

と慌ててお菓子を飲み込んで挨拶をしている私に、お兄様はずっと苦笑いをされました。
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