王子様に恋をした
邸に戻り、その日のお茶会の話を夕食時にお父様に聞いていただきたくて、私はお父様のお帰りを今か今かと部屋で待っていたのですが、

「お父様がお帰りになるまで、この本をお読みなさい。」

とお茶会の時に興奮して殿下とお話してしまった事を、お兄様からお聞きになったお母様から、無言の課題を与えられてしまいました。

でも、そんな事は考えられないくらい、私の頭の中は殿下の事でいっぱいでした。

(殿下はどんなお菓子を好まれるのかしら…もう直ぐ18歳におなりなのだから、お酒もお召しになるのよね?だったら、ワインに合うお菓子がいいかしら?)

私は、どんなお菓子を作ってお届けしようか、そればかりを考え目の前の『淑女とは』と書かれた分厚い本は、表紙を開けることなく机の上に置いたままにしていました。

後でお母様から、

「淑女とは、どんな女性であると本に書かれていたの?」

と聞かれて何も答えられず、酷く叱られてしまう事など全く思いもしておりませんでした。

勿論夕食時、お父様に今日のお茶会での事を興奮してお話した事も、お母様からキツく注意を受けてしまったのは、当然の事でした。

だぁって〜楽しかったんだもん♪殿下はカッコよかったし。仕方ないですよね?
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