授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました

思えば、父とは三、四ヵ月会っていない。笑みのない表情を見ていると「久しぶり！」なんて笑って言えるような状況でもないらしい。

「足場が悪い。早く車に乗りなさい」

「え？　で、でも……」

「でも、じゃないよ？　菜穂ちゃん、お父さんが笑っている間に言うことを聞きなさい。いいね？」

笑ってる間にって……お父さん全然最初から笑ってないじゃない。

その声音から、父が猛烈に不機嫌だということはわかった。きっと私が黙って勝手なことをしていたことに怒っているに違いない。

タイミングが最悪なのはわかっている。けれど、これを機に私は黒川さんとのことをちゃんと話そうと決めて渋々車に乗ることにした――。