授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
肩口に埋めた黒川さんが細い息を吐く。それは微かに震えていて、何かに怯えているようにも思えた。
――大切な人を失いたくない。
その言葉が私の胸に突き刺さる。なぜなら、私のことを失いたくないとも取れる意味の裏に、過去に大切な人を失った経験があるのだ。と瞬時に悟ったからだ。けれど、今はまだその領域に踏み込むことはできない。
「俺は弁護士としてたくさんの人を救ってきた。だからその数だけ敵も多い。本当は君を巻き込みたくなくて気持ちを打ち明けることも……正直躊躇った。けど、それでも俺は君と一緒にいたかった」
抱きしめる腕に力がこもる。まるで罪な告白を許してくれ、と言わんばかりに。そんな葛藤がありながらも黒川さんは私を選んでくれた。だから私もその気持ちに応えたい、という思いがこみあげる。
「私も一緒にいたいです。敵が多いからって、もうひとりで悩まないでください」
「菜穂……」
「私も一緒に戦います。だって、黒川さんの一番傍にいるのは……私なんだから」
徐々に上がる彼の体温に当てられて瞳が潤みだす。目元が緩んだのを合図に唇が塞がれ、そして黒川さんは私にゆっくり体重をかけてきた。
「あ……」
その重みに抵抗することもなくソファに身体を沈めると、黒川さんの今まで見たこともないような野性味を帯びた蠱惑的な視線に見下ろされた。
「このままいくと、俺は君を抱くことになるが……抵抗しないのか?」
「どうして抵抗するんですか? その必要がないから……もうこんな体勢になってのに」
彼のことが好き。どうしようもなく惹かれてしまった。だから、辛そうな顔なんて見たくない。そう思うと私は自然に彼の首に腕を回した。
「ベッドに行くか」
黒川さんの寝室は目の前だ。真っ白なドアをちらりと見やると、これから始まる未知なる世界に、私は今にも破裂しそうな心臓をぐっと抑え込んだ。
――大切な人を失いたくない。
その言葉が私の胸に突き刺さる。なぜなら、私のことを失いたくないとも取れる意味の裏に、過去に大切な人を失った経験があるのだ。と瞬時に悟ったからだ。けれど、今はまだその領域に踏み込むことはできない。
「俺は弁護士としてたくさんの人を救ってきた。だからその数だけ敵も多い。本当は君を巻き込みたくなくて気持ちを打ち明けることも……正直躊躇った。けど、それでも俺は君と一緒にいたかった」
抱きしめる腕に力がこもる。まるで罪な告白を許してくれ、と言わんばかりに。そんな葛藤がありながらも黒川さんは私を選んでくれた。だから私もその気持ちに応えたい、という思いがこみあげる。
「私も一緒にいたいです。敵が多いからって、もうひとりで悩まないでください」
「菜穂……」
「私も一緒に戦います。だって、黒川さんの一番傍にいるのは……私なんだから」
徐々に上がる彼の体温に当てられて瞳が潤みだす。目元が緩んだのを合図に唇が塞がれ、そして黒川さんは私にゆっくり体重をかけてきた。
「あ……」
その重みに抵抗することもなくソファに身体を沈めると、黒川さんの今まで見たこともないような野性味を帯びた蠱惑的な視線に見下ろされた。
「このままいくと、俺は君を抱くことになるが……抵抗しないのか?」
「どうして抵抗するんですか? その必要がないから……もうこんな体勢になってのに」
彼のことが好き。どうしようもなく惹かれてしまった。だから、辛そうな顔なんて見たくない。そう思うと私は自然に彼の首に腕を回した。
「ベッドに行くか」
黒川さんの寝室は目の前だ。真っ白なドアをちらりと見やると、これから始まる未知なる世界に、私は今にも破裂しそうな心臓をぐっと抑え込んだ。