授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「あ、ん……」

服をはぎ取られ、雪崩れ込むようにベッドに入ると一気に部屋中の空気が湿り気を帯びた。弾む互いの乱れた息が交差して、濡れた音が室内に響く。

「ああ、菜穂、可愛い……口開けて」

「んっ……」

繰り返される黒川さんのキスは内部を深く探るものではなく、唇を甘く噛んだり吸い上げたりして、私は言われるがまま唇を開いた。

素肌と素肌が重なる合うだけで気持ちがいい。呼吸は自然と短く、早くなる。

スーツを着ているときの彼はすっきりして見えたけれど、脱ぐと思いのほか均衡のとれた体つきをしていて首に筋が浮き出ると、その妙な色気にブルッと身が震えた。

「君は案外着痩せするタイプなんだな」

うぅ、恥ずかしい。こんなことならもっとダイエット頑張っておけばよかった。

私の身体が見たいからって電気も消してもらえなかった。はっきりと見える黒川さんの身体にドキドキしていたけれど、自分も同じようにすべてを見られているのだ、思うと羞恥でおかしくなりそうだった。

「胸も大きくて触り心地がいいな」

「ひゃっ!」

無防備に晒された胸の膨らみに手が這うと高い声が出て、黒川さんは口の端をあげて私の反応を楽しんでいた。

「好きだよ、菜穂」

「わ、たしも……好きです」

耳元で囁かれる甘い言葉に、私は彼の熱に浮かされながら息も絶え絶えに答える。そして身体に打ち付けられる黒川さんの想いを、私は必死に全身で受け止め続けた――。
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