虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
もう一度、私の立場を主張しようか。そう考えていると、エルマの声がした。

「よく分かりました」

「……分かって頂けたのなら良かった」

そう答えながらも、すっきりしないものを感じた。エルマの様子がどこかおかしいのだ。

先ほどまで怒りではなく、別のもっと怖い感情が隠されている気がする。

エルマは薄笑いを浮かべた。

「そうやって、いい気になれるのも今の内でしょうね。あなたの地位はいつまでも続くものではないのだから」

ドキリとした。まるで未来を予言しているような言い方。

「私が離縁されるとでもお思いですか?」

「離縁? それで済むと思うのは楽観的ではないかしら」

やっぱり……エルマの言葉には何か含みがある。

これから私が失脚するのを、確信している為の言動。そんな風に感じる。

不意に思い浮かんだ考えに背筋が冷たくなった。

もしかして……アリーセを嵌めたのは、公爵とエルマの可能性があるんじゃない?

王妃の位を剥奪したのも、追放して殺害したのもランセルの指示かと思っていたけど、裏でベルヴァルト公爵家が動いていたのだとしたら?

直ぐにでも問い質したくなったけれど、なんとか思いとどまる。

全て私の想像に過ぎないし、もし真実なのだとしても正直に言うはずがない。

とは言え一度疑いを持ったせいで、警戒心がこみ上げるのを押さえられなかった。
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