続・隣人はクールな同期でした。
退院してから
月に数回の外来受診がある中で
いつものように診察を終えたアタシは
処方箋を持って薬局に向かっていた。
院内のエスカレーターを降りて
ちょうど正面玄関に繋がる廊下を歩いているとき。
―――ガシャン
何か大きめなモノが複数倒れる音と
同時に聞こえてきたのは小銭が床に落ちる音。
「えッ、なに!?」
たまたま音のする近くを歩いていたから
少し驚き振り返ってしまった。
目の当たりにしたのは
自販機の前で右足を包帯で撒かれた20代くらいの若い男性が
松葉杖とお金を床に落とした現場だった。
たぶん不慣れな状態だったんだろう。
松葉杖を使いながら飲み物を買おうとしたのに失敗したんだと思う。
「大丈夫です?」
散らばった小銭をを拾いながら彼に手渡すと。
「あ、すみません!
松葉杖に気を取られてたら落としちゃって…
本当、助かりました。
ありがとうございます」
頭を下げる男のコ。
やっぱ慣れてなかったんだね、松葉杖。
「気にしないでください。
あ、どれ買おうとしてたんです?
手伝いますよ」
「重ね重ね、ありがとうございます」
またお礼を言われた。