続・隣人はクールな同期でした。

誰も寄せ付けないほどの怒気に
『アタシも殴られるんじゃないか』って
恐怖で自然と体が震え
心拍数も上がる。


「待って…落ち着いて、ジン。
 ココは会社だから…
 それ以上は問題になる…」


それでも止めないとって
絞り出した声までもが震えているのは
自分でもわかった。


「あーぁ、セツナさん可哀想。
 震えちゃっているじゃないですかぁ」


この切迫した状況下の中で
すぐ後ろにいた風見くんは
まるで他人事のように嘲笑う。


「“彼女”なんでしょ。
 脅すなんて最低ですよ、副編集長」


彼の反抗的な態度と見下した表情に
何も言えず絶句するアタシとは対照的に…


「黙れ、クソガキ」


ジン本人は気付いていないだろうけど
怒りという極度の興奮状態で
瞳孔までも開いている。


「2人ともやめなッ」


そのあまりの緊張感に
アタシの心臓が保つはずもなく…


「…ッ」


止めに入ったくせに
胸の息苦しさに襲われてしまい
ジンの腕をギュッと掴みながら呼吸が荒くなるばかり。


「セツナ…?」


すぐに異状を察したジン。
殺意の籠った表情が消えていく。
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