きっとこれは眠れない恋の証明。

一年前だったら、きっと何も考えずに普通に行っていたやりとり。

…の筈なのに、さっき私が差し出されたスプーンに口を付けることを一瞬戸惑ったのも、心臓がドキっとしたのも、きっと。

この一年の間に、いろいろと自分の気持ちを自覚したからに違いなかった。

自覚した、と言い切るにはまだ自信が足りないけれど。

それでも多分…私が京に抱いている気持ちに名前をつけるなら、きっと。

でもそれを口にする事で、京と気まずくなってしまったらどうしよう。

一緒にいられなくなってしまったらどうしよう。


──…そんな事を心配する必要はないくらい、私達はもう色んな物を乗り越えている。



「ねぇ京。私、京の事が大好き」

「知ってる」

「だから、そうじゃなくて…。
京に、恋をしてるんだと思う。…多分」


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