二度目の結婚は、溺愛から始まる
わたしが身に着けているのは、蓮が選んだ総レースの下着の「白」バージョンだった。
「似合わないとわかっていて買ったのは、蓮でしょっ!? 第一、そんなに見たくないなら、脱がせなきゃいいじゃない……」
恥ずかしさより、悔しさが上回り、つい言い返す。
白の下着が似合う「無垢」で「清楚」な女性像からはかけ離れていると自覚しているけれど、面と向かって似合わないと言われれば、さすがにむっとする。
「……そうだな。全部脱がせなくてもいいか」
「そういう意味じゃっ……!」
後ずさりした途端、布団につまずいて倒れ込む。
蓮は、すかさず覆いかぶさるようにして、わたしを腕の中に閉じ込めた。
「……いい眺めだ」
そっと鎖骨の窪みにくちづけ、少しずつブラジャーで覆われた胸へと移動していく。
「れ、蓮っ!」
(やめなきゃ……ダメなのに……お祖父さまのいる家でなんて……)
蓮の広い肩に置いた手で、押し返すのではなく、逆に縋りついてしまう。
身体は、このまま流されてしまいたいと訴えているけれど、頭の片隅に追いやられている理性が、流されてはいけないと警鐘を鳴らしている。
相反する気持ちと感覚に翻弄されて、涙腺までコントロールできなくなってしまった。
「……椿?」
わたしが啜り上げていることに気づいた蓮が、ぴたりと動きを止めた。
「悪かった……からかいすぎた」
唇に軽いキスを落とした蓮は、わたしの腕を取って起き上がらせてくれた。
「……からかわないで」
「ああ。もうしない……しばらくは」
「…………」
睨みつけるわたしに苦笑しながら、蓮は再びキスをする。
「そういう顔をされると……キスせずにはいられなくなる」