二度目の結婚は、溺愛から始まる

わたしが身に着けているのは、蓮が選んだ総レースの下着の「白」バージョンだった。


「似合わないとわかっていて買ったのは、蓮でしょっ!? 第一、そんなに見たくないなら、脱がせなきゃいいじゃない……」


恥ずかしさより、悔しさが上回り、つい言い返す。

白の下着が似合う「無垢」で「清楚」な女性像からはかけ離れていると自覚しているけれど、面と向かって似合わないと言われれば、さすがにむっとする。


「……そうだな。全部脱がせなくてもいいか」

「そういう意味じゃっ……!」


後ずさりした途端、布団につまずいて倒れ込む。
蓮は、すかさず覆いかぶさるようにして、わたしを腕の中に閉じ込めた。


「……いい眺めだ」


そっと鎖骨の窪みにくちづけ、少しずつブラジャーで覆われた胸へと移動していく。


「れ、蓮っ!」

(やめなきゃ……ダメなのに……お祖父さまのいる家でなんて……)


蓮の広い肩に置いた手で、押し返すのではなく、逆に縋りついてしまう。

身体は、このまま流されてしまいたいと訴えているけれど、頭の片隅に追いやられている理性が、流されてはいけないと警鐘を鳴らしている。

相反する気持ちと感覚に翻弄されて、涙腺までコントロールできなくなってしまった。


「……椿?」


わたしが啜り上げていることに気づいた蓮が、ぴたりと動きを止めた。


「悪かった……からかいすぎた」


唇に軽いキスを落とした蓮は、わたしの腕を取って起き上がらせてくれた。


「……からかわないで」

「ああ。もうしない……しばらくは」

「…………」


睨みつけるわたしに苦笑しながら、蓮は再びキスをする。


「そういう顔をされると……キスせずにはいられなくなる」


< 115 / 334 >

この作品をシェア

pagetop