二度目の結婚は、溺愛から始まる
「征二さん、休憩どうぞ」
「え? 三十分しか経ってないよ? もっと休んでいいのに……」
「あとで、もう三十分取らせてもらいますから」
「相変わらず、働き者だねぇ……椿ちゃんは。ところで、雪柳さんには連絡した?」
「はい。終わったら迎えに来るそうです」
「だったら、夜のシフトで一緒になる相手のことも、きちんと説明しておこうか」
「あの、でも……そんなに気にしなくちゃいけないような人なんですか?」
「椿ちゃん。自分の彼女が、イケメンと仲良く働いているなんて、普通は心穏やかではいられないよ?」
「イケメンなんですか?」
「雪柳さんとはちがったタイプだけど、かなりモテる。来る者拒まず、去る者追わず。深い付き合いはしないけどね」
「それって……」
「要するに、ワルイ男」
蒼の家で出会ったナンパ男のことが脳裏を過る。
顔を強張らせたわたしに、征二さんは心配いらないと笑った。
「自分のことをよくわかっているからこそ、軽い付き合いしかしない。雪柳さん相手に張り合おうと思うほど、無謀なヤツじゃないよ」