二度目の結婚は、溺愛から始まる
「苦手? そんな風には見えないが?」
運動音痴とまではいかないが、昔からスポーツ全般苦手だ。
走るのは遅いし、球技は道具を使うものも使わないものも、ダメ。
見た目がお淑やかな「お嬢さま」なら違和感もないのだろうが、活発な性格のため、ギャップに驚かれるのは日常茶飯事だった。
「人は見た目によらないって言うじゃない! 蓮だって、ジムで体を鍛えてはいても、学生時代に部活なんかしていないでしょう?」
「いや、部活に入っていたが」
「えっ!? そうなの……? 何部だったの?」
蓮と柾が通っていた高校は、超難関と有名な私立高校。
文武両道を謳っているが、まぎれもない進学校だ。
運動系とはいっても、テニスとか、弓道とか、泥臭くないおしゃれでモテそうな部活ばかりなのだろうと思ったが、蓮はそんなわたしの予想を思い切り覆した。
「アメフトだ」
「……アメ、フト? あの……ロボットみたいな恰好でぶつかりあう格闘技っ!?」
「ロボット……あれはプロテクターだ。確かにかなりタフなスポーツだが、格闘技じゃない。れっきとした球技だ。それに、俺のポジションはディフェンスじゃなかったから、ぶつかり合うことはそれほどなかった」
「どこのポジションだったの?」
「クォーターバックだ」
男友だちとの付き合いに、スポーツバーでの飲み会もしばしば含まれていたので、ある程度の観戦用知識はある。
クォーターバックは、いわゆるチームの司令塔であり、「花形」だ。
相手の守備を見て攻撃の作戦を決めたり、瞬時に変更したりする判断能力。
パスを通すために味方選手の動きを瞬時に見分ける視野の広さ。
正確にあらゆるパス――ロングパスも投げられる肩の強さとコントロール。
自らランプレーをする機動力。
高いレベルでそれら頭脳と身体能力の両方を求められる、とても重要なポジションだ。
しかし、いくら海外――特に米国では、バスケと野球に匹敵する人気のスポーツでも、日本では野球やサッカーほどメジャーなスポーツではない。
ましてや、激しいボディコンタクトが伴うため怪我も多い。気軽に挑戦できるスポーツではないだろう。
「ねえ、どうしてアメフトをしようと思ったの?」
「単なるなりゆきだ。高校に入学した時点で身長が百八十センチを超えていたし、同級生に比べればガタイもよかったから顧問に目を付けられたんだよ。しつこく勧誘されて、見学ということで仮入部したんだが、やってみたら面白くてハマった。メンバーも、タフでユニークで……気が合うヤツラばかりだった」
懐かしそうに語る蓮は、とてもいい表情をしている。
部活仲間と楽しい高校時代を過ごしていたのだろう。