twilight sinfonia
いつにもなく歯切れが悪い瀬那。
……何か、あった?


「どうかした?」
『普通に、配信中だから邪魔して機嫌悪いのは想像つくんだけどさ』
「うん……?」
『変なお願いしていい?』
「何?」


少しの間。
沈黙。


で、結果。


『……今から、迎えに行ったら、家来てくれる?』


いつもより少し弱々しい声。
さっきの数分の間に何があったんだろうか。


「……いい、けど」


とにかく、普段から大人っぽく振る舞っている瀬那がたまにこうなるのは、劇的に病んだときか、周期的な甘えがきたときが大体。
今日は、どっちだろうか。


どっちだったとしても、私は本当に都合のいい女だと思う。


気づいたら瀬那の電話は切れていて、慌てて準備をする。とりあえずこの時間は泊まり確定だから、明日の服とか靴とかもろもろ持って、パソコンと、スマホと。
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