twilight sinfonia
だっていつもの瀬那なら、せっかちでキビキビしてるのに。
こんなに病んでるの久々に見た。
そもそもデータ飛ばしたのなんか初めてだもんね。


「……納期明後日なんだけど。間に合わんかも」
「大丈夫、間に合うから。私も手伝うから、ね?」


そこでようやく瀬那は私の背中に回した手を外して私の目を見る。


「……胸成長してね?」
「こっちは本気で心配してるんだよ?」


案外元気じゃねーかクソやろう。


瀬那は私を抱き上げてパソコンに椅子に腰掛ける。
さっきとは違って、パソコンの方をむかされてはいるけども。


「とりあえず復元する?」
「ん」


いつもせなが保存するところを漁ると、めちゃくちゃ容量ペラッペラのデータが出てくる。
ほんとに、ギターとメロディーラインしかない。


「何から当ててたの?」
「ピアノとベース」
「対旋律?とかつけてた?」
「つけてた」
「鼻歌してくれたら当てるよ」
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