熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「肉厚のアジフライ……」
時刻は午後の一時半を回ったところだ。
考えてみれば昼食も食べずにつくもを出てきた花の腹事情は、空腹を訴えていた。
「ふむ、アジフライか。ええのぅ」
「てんすけ茶屋って、今のふたりは言ってましたよ……! そこのアジフライが美味しかったって!」
地獄行きのかかっている地獄耳の花だ、と、ぽん太は思った。
しかし目をキラキラと輝かせる花にそんなことを言うのは野暮だと思い、口を噤む。
「てんすけ茶屋って名前も、なんだかちょう助くんとご縁があるし!」
「……そこ?」
最早、花の頭の中はアジフライ一色になっていた。
花より団子、観光よりアジフライである。