悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 ヴィルヘルムの発言に、レオンティーナは固まってしまった。

(母上、母上って……)

 ヴィルヘルムの母は、ケルスティン・タンブレア。
 皇帝が最も愛している女性だ。
 その気になれば皇妃と対立することもできるというのに、陰から皇帝を支えることに徹していて、表舞台には姿を見せないようにしている控えめな女性だ。

(今、ケルスティンと近づくのはまずいんじゃないの……?)

 ケルスティンは皇帝の愛人に過ぎない。
 穏やかな人柄で、宮中での評判は悪くないが、前世では、若くして亡くなったため、レオンティーナとはほとんど親交がなかった。
 未来の夫であるアンドレアスは皇妃の息子。完全に対立する立場にある。

(いえ、ちょっと待って。冷静になりなさい、私)

 断ろうとして、レオンティーナは我に返った。

(別に、アンドレアスと結婚したいわけじゃないわよね……、私)

 たしかに前世ではアンドレアスと結婚した。
 だが、今回もアンドレアスと結婚したいかと問われると、完全にお断りである。

(ケルスティンは、皇帝陛下に近い位置にいる)

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