悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
(まったく、仲が悪いのはしかたがないにしても、子供の前で喧嘩するんじゃないわよ……!)

 でも、と手近にあったクッションを引き寄せながらレオンティーナは考え込んだ。
 喧嘩するだけ、両親はまだよかったのかもしれない。
 アンドレアスとの間には、喧嘩すらほとんどなかった。彼は常に自分の好みの女性を連れ歩いていて、レオンティーナには見向きもしなかったから。
 何ひとつ語ることのない夫婦よりも、喧嘩する方がまだましではないだろうか。互いになんの関心もないというわけではなさそうだ。

(それより、今はこれからどうするかの方が重要な問題だわ!)

 窓辺のソファはぽかぽかしていて、居心地がよい。
 閉じ込められていた牢獄は、塔の最上階にありながらも日の光なんてほとんど入らなかった。
 窓からの脱出を警戒していたのだろう。
 明かり取りの窓は、壁の上の方にわずかに空いているだけ。そこから差し込むわずかな日光で、朝が来たのを感じ、日が暮れたのを感じ取る。そんな日々だった。
 それと比べたら、この場所はなんて快適なことか。

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