悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
(……私が、もう一度こうして生まれた理由は考えなくていいわ……食事がおいしいのは嬉しかったわね)

 朝食に出されたメニューを思い返す。
 厨房のパン職人が焼き上げた、ふわふわのパン。鶏小屋の鶏が生んだばかりの新鮮な卵で作ったオムレツ。オムレツには、チーズも入っていて、卵に濃厚さを加えていた。
 ジャムは、イチゴ、アプリコット、マーマレードの三種類。バターも好きなだけ使うことができた。
 牢の中で出されたマレイモのスープとは大違いだ。

(……あんな生活には戻りたくない)

 レオンティーナは、アンドレアスに嫁ぎ、皇妃となった。
 けれど、レオンティーナにできることなんてほとんどなかった。政治に、口を出すものではないと言われていたから。
 美しく装い、社交界を泳ぎ回る。それがレオンティーナのすべて。
 何も知らないまま、金銭に糸目をつけずに美しい品々を入手し、その結果国を傾けた。
 誰よりも美しく、誇り高くいたつもりだったが、与えられたのは嘲笑と呪詛。そして最後には死だった。

(でも……ちょっと待って!)

 不意に思い浮かんだ事実に、ソファの上で姿勢を正す。
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