悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

　これは、やり直しのいい機会ではないだろうか。

　以前の生では、アンドレアスに嫁いで処刑の道を歩んだ。もし、他の人に嫁いでいたら、未来を変えることができるかもしれない。
　最初に皇太子となったヴィルヘルムは、愛妾に生まれた皇子だった。
皇帝が、愛妾のケルスティンを最も愛したこと、　皇妃の生んだ皇子アンドレアスより、ヴィルヘルムが未来の皇帝としてふさわしいと判断されたことが理由だとされている。
　アンドレアスが皇太子になったのは、ヴィルヘルムの死の後だった。

（そうよ、全員、年齢としては釣り合いがとれているから……前世の夫に固執する必要もないんじゃない？）

　一番年下の第五皇子は現在三歳。レオンティーナより五歳年下であるが、結婚相手としてぎりぎり許容範囲である。残る四人の皇子は、ほぼレオンティーナと同年代だ。
　もし、アンドレアスではなく、他の皇子に嫁いだなら――処刑の未来を回避できるのではないだろうか。
　そもそも熱烈に愛し合っていたわけでもなく、アンドレアスはレオンティーナにはまったく興味を持っていなかった。