悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナも、アンドレアスを愛していたというよりは、夫にかえりみられない妻という世間の見方を解消したかっただけ。前世と同じ相手に嫁ぐ必要はまったくないのだ。
 皇帝となったあと、アンドレアスの浪費はますます激しくなり、国が滅亡するきっかけとなったのである。
 そんな相手に国を任せるなんてできるはずもない。

(嫁ぐならヴィルヘルムかしら……だけど、彼は、優しすぎてアーシア王国の台頭を招いてしまった)

 十七歳の時に暗殺されたヴィルヘルムは、国が衰退の一途をたどっているのを目ざとく気づいていたという話だ。そのため、隣国のアーシア王国と結び、国を内部から改革しようとしていた。
 だが、その優しさゆえに皇妃を敵に回し、暗殺されてしまった。

(暗殺されるのは嫌よ。ヴィルヘルムはだめだわ)

 処刑はごめんだが、ヴィルヘルムに巻き込まれて暗殺されるのもごめんこうむりたい。
 となると、第三皇子か。だが、彼は戦うことばかり頭にある戦闘狂だ。
 前世でソニアに教えてもらった庶民の言葉では脳みそまで筋肉でできている――脳筋と言うらしい。
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