悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 騎士らしいと言えばそうかもしれないけれど、アーシア王国との戦いでは最前線で戦い、真っ先に戦死していた。
 その下の皇子は一日書庫で過ごす学者肌――と言えば聞こえはよいが、歴史の研究に情熱を注ぐことで、現実から目を背けている面もある。
 第五皇子は、病弱でもあるし、皇帝には向かないだろう。何より五歳下だから、レオンティーナが縁談を探し始める時期には、まだ対象には入ってこないはずだ。
 彼と縁談を結ぶとしたら、他の縁談がすべて駄目になったあとだろう。

(どいつもこいつもダメじゃないの……! ……フェルゼンシュタイン家には、使えない男しかいないわけ?)

 誰が皇帝になったとしても。誰のところに嫁いだとしても。
 この先の未来は真っ暗だ。

(もういっそ、国外に逃亡しようかしら……!)

 ソファの上で頭を抱え込んでしまった。
 大公家の娘としての義務を捨てて国外に逃亡したら、少なくとも平和な生活は送れそうな気がする。
 父と母を見捨てることにはなるが、ふたりともレオンティーナには興味がないのだ。問題ない。
 逃亡資金は、これから少しずつ用意していけば、なんとかなるのではないだろうか。
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