悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

（たしか、亡命してきた貴族は、宝石を売って生活しているって言ってたわよね……）

　前世、皇妃だった時代。他国からこの国に亡命してきた他国の貴族と会話をする機会もあった。国を逃げる時に、宝石を持ち出し、それを売って生活していると言っていた覚えがある。

（でも、それだけじゃすぐに行き詰まるわよね……）

　その貴族がレオンティーナに面会を求めてきたのは、生活の助けを得たいという目的からだった。だが、レオンティーナには援助してやる義理もなかったので、知り合いの貴族を紹介して終わりにした覚えがある。

（いっそ、何か商売を始める……とか……？）

　生活のために亡命してきた貴族の中でなんとか生計を立てることができた者は、宝石の売却資金を元手に様々な商売を行っていた。
　すぐにうまくいくとも思えないけれど、今から商売について勉強しておけばなんとかなりそうな気もする。
　自分の力で自分の人生を切り開くのも悪くないかもしれない。

（……待って。それなら、誰かに嫁ぐ必要もないんじゃない……？）

　それは、考えを巡らせる中、不意にレオンティーナの脳裏にひらめいたものだった。