悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「レオンティーナ、どうかしたのかい?」
今、茶の髪を、きちんと整えた父の顔を見てみると、なかなかの美男子である。三十代後半であるが、年齢の割には若々しい。
顎がいくぶん細めなのが、気の弱そうな印象に繋がってはいるが、政治家としてはそれなりに有能であるらしい。らしいというのは、あくまでも聞いた話でしかないからだ。実際のところはどうなのかよく知らない。
「ティーナは、今日、八歳になりました」
父の前に立ち、レオンティーナは胸を張った。ティーナとは、レオンティーナの愛称だ。甘えたい時には、自分のことをそう呼んでいたのもまた思い出して、その頃のようにふるまってみる。
「そうだね。立派なレディになった」
父は、微笑ましそうに目を細める。
(……あら?)
その表情には見覚えがなかったから、レオンティーナは少しばかり驚いた。こんな目で父に見られたことがあっただろうか。
「君は、日に日に美しくなるね。母上そっくりだ」
今のは、聞き間違いではないかと思った。なんで、父の声はこんなにも蕩けそうに甘いのだろう。
今、茶の髪を、きちんと整えた父の顔を見てみると、なかなかの美男子である。三十代後半であるが、年齢の割には若々しい。
顎がいくぶん細めなのが、気の弱そうな印象に繋がってはいるが、政治家としてはそれなりに有能であるらしい。らしいというのは、あくまでも聞いた話でしかないからだ。実際のところはどうなのかよく知らない。
「ティーナは、今日、八歳になりました」
父の前に立ち、レオンティーナは胸を張った。ティーナとは、レオンティーナの愛称だ。甘えたい時には、自分のことをそう呼んでいたのもまた思い出して、その頃のようにふるまってみる。
「そうだね。立派なレディになった」
父は、微笑ましそうに目を細める。
(……あら?)
その表情には見覚えがなかったから、レオンティーナは少しばかり驚いた。こんな目で父に見られたことがあっただろうか。
「君は、日に日に美しくなるね。母上そっくりだ」
今のは、聞き間違いではないかと思った。なんで、父の声はこんなにも蕩けそうに甘いのだろう。