悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「そうだよ。あの方は、ヴィルヘルム殿下のお母上なんだ」

 もともと、ケルスティンと相思相愛であったという話もあるが、結婚相手に選んだのは政略上の相手であった。
 ケルスティンを皇妃以上に大切にしているのは周知の事実であり、皇妃との間にヴィルヘルムと同じ年の息子がいるにも関わらず、まだ皇太子を決めていないのは、ヴィルヘルムを皇太子にしたいからだとも言われている。
 実際、レオンティーナの知る歴史では、この時代より少し先の未来で皇太子となったのはヴィルヘルムだった。

(……私からしたら、ヴィルヘルムはちょっと見る目がない気がするんだけど……)

 幾度もあの施設を視察していたというのに、ヴィルヘルムは施設長の不正に気付いていなかった。
 まだ、彼が十歳の少年であることを考えれば、視察に行こうと思えるだけで優れているのかもしれないが。
 レオンティーナが不正に気付けたのは、前世での知識のおかげである。
 だが、ヴィルヘルムの優しさは、いずれ国を衰退させてしまう――そのことを知っているから、ヴィルヘルムが未来の皇太子と知っていても、なんだか不安の方が先に立つのだ。

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