さよならが言えなくなるその前に



こわいよ。



翔輝が、みんながケガして



ゆうじくんみたいになったら…




「ケンカなんて



…そんなの、やめればいいのに」



泣きそう。



つぶやく優香。




「…ゆうじは、少なくとも3人以上で



やられてる。



アイツはケンカは強くないし、



ほとんど、サンドバック状態だっただろうよ。



執拗に、頭折られるほど…」




いつもは冷静な那智の口調が



悔しげに歪んだ。



「みせしめに



やられたんだよ。



おれたちへのメッセージのためだけに」



那智の語る現実に



優香は



優香の胸は



何度も、痛くて…



「何で俺たちしかいないと思う?」




「え?」




「ゆうじの見舞いだよ。」




ほんとだ。ゆうじくんのご家族は…。




「来ないってよ。一応連絡したけどな。



うちには息子はもういません


だってよ。」



そんな…




「ゆうじは翔輝が拾ってきたんだ。




居場所が無くてフラフラしてたところをな。




ゆうじには、



…俺たちしかいねえんだよ。」





「今ならお前はメンも割れてない。



だから、お前はもう



俺たちに関わるのはやめろ」


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