さよならが言えなくなるその前に




那智がシャツを羽織る。



2匹の龍が隠れた。




「那智さん。」



まだ横になって那智を見てたレミが言った。




「ん?」




カチ。タバコの火をつける音。




「レミの髪。黒髪の方が好き?」



「洋服もこういう、大人っぽいのが好き?」



「レミもっとこうした方がいいとか



ある?」



「何だよ。」



質問責めのレミに



「格好なんか、お前の好きな格好しろよ」




興味無さそうな那智。




「レミ、那智さんの好みの服装




したいんだもん」




「…別にそんなのねえよ」




レミはギュッて



手を握りしめる。



レミみたいに普通な子



那智さんとできるだけ



ラッキーなんだよ。




だから全然大丈夫。




遊びだって、全然いいんだよ。




大丈夫だもん。




そのはずなのに、そう思わなきゃって





思うのに




何で…?




レミの身体はそんな考えに




反抗するみたいに




痛がる。




那智さんに抱きしめられると幸せ。



那智さんに触れられると嬉しくなる




那智さんが潤んだ目でレミをみると




那智さんの中に今は



レミしかいない




気がして




気持ちいいし




心があったかくなる。




嬉しいことばっかりな気がするのに





なのに、




レミのどっかが



痛い、痛いって



黙ってくれない。
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