さよならが言えなくなるその前に




どんな日でも



朝はやってくるから



アラームが鳴る前に目が覚めて




顔洗って



電車に揺られて



お客さんと談笑して



キーボードを叩いて



ときどきお酒飲んだり







湯船に浸かって



ハアって



息をつく。




まるで膜がはっているみたいな視界に




重い心臓に




息を吐く。






ていうか、大丈夫だし。




知ってるから



もう24年も生きてきて



忘れかたくらい



ある程度、知ってる。



どんな感情だって



例え、



後悔するような



ひどい別れだって



いつかは忘却になるから。




大体、振っておいて



自分からサヨナラしておいて



何を…




こんなに凹んでるの。



おかしいでしょ。



わたし




しっかりしなよ



24歳!




パシャっ。




優香はお湯を自分の顔にかけた。


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