となりの一条三兄弟!
「け、景ちゃん私……」
泣きそうな声を出すと、なにやら鋭い視線を感じた。
それは教室の隅に立っている一条聖。私のことをじっと見つめて、すごくすごくイヤな顔をしている。
「茉莉?」
景ちゃんに名前を呼ばれる頃には授業のチャイムが鳴ってしまって、結局打ち明けることができなかった。
私の席は窓際から二列目の3番目。一条聖は窓際から一列目の一番後ろ。
一条聖が席に座るために通路を歩いてきて、通りすぎる直前もまだ私のことを見ていた。
「な、なに……?」
睨まれるようなことはしていない。
すると何故か「はあ……」と深いため息をつかれて、そのまま彼は席に着いた。
なな、なに?なんなの?
最初から感じは悪かったけど、今のはさすがにムッとする。
文句を言いたいけどそんな度胸もないし、授業の先生も来ちゃったし。
とにかくテンションの下がる1日のはじまり方だ。
それからもなんだか気持ちが落ち着かなくて、また奇妙なことが起こるんじゃないかとソワソワしてしまう。
霊が見える体質でもないし感じるタイプでもない。どちらかといえばそういうことに疎いほうだったのに……。
「まーりりん♪」
「……ひゃっ!」
廊下を歩いているとまた背後から肩を叩かれて、思わず過敏な反応をしてしまった。
「あはは、そんなにビックリしなくてもいいのに」
甘い顔で笑っているのは晶くんだった。