となりの一条三兄弟!
お母さんはすでに亡くなっていて、お父さんは各地を飛び回る仕事をしてるようで、今は海外にいるんだとか。
なので、男三人だからこれから色々とよろしくお願いしますと丁寧に挨拶してくれたっけ。
昴さんは長男だし料理もできるらしいから生活面では大丈夫そうだけど……。それでも女手がないと不便なこともあると思う。
「ダメ……?」
晶くんが可愛い顔で私のことを見ている。
たしかに引っ越し祝いで三人だけは寂しいかもしれない。
知らない土地にきて近くに頼れる人もいないだろうし、隣の家同士になったのもなにかの縁だ。
これから長い付き合いになるかもしれないし、両親が傍にいない寂しさを少しでも紛らわせるのなら……。
「私がお邪魔しても大丈夫ならいいよ」
「え!本当?わーい!」
晶くんがなんの躊躇もなく私に抱きついてきた。
「なっ……!あ、晶くん?」
三兄弟の中では一番背が低いけれど、それでも他の男子よりもはるかに高いので、私の体がすっぽりと埋もれてしまう。
もしかして晶くんって海外育ちとか?
スキンシップがもはや日本人じゃないというか……女子たちの視線が本当に怖すぎるよ。
「晶くん、ちょっと離してっ!」
私が体を引き離そうとすると、さらに強い力でギュッとされた。
「絶対来てね。待ってるよ」
耳元で囁かれた声は可愛い感じじゃなくて、お腹に響くような低い声だった。
ドキッとして耳が赤くなっているであろう私のことは置いてきぼりにして、晶くんは何事もなかったかのように「じゃあね!」と子犬のように走っていってしまった。