となりの一条三兄弟!
ビックリしすぎて上手く声が出ない。
思わず後退りをするとガタッとキッチンに阻まれて、その反動でまな板の上にあった肉が下へと落ちた。
ぐちゃりとイヤな音。
手を付いてしまったせいで私の右手にも血が付着していて、じわりじわりと手のひらが赤く滲んでいく。
「あーあ、茉莉ちゃんダメじゃないか」
昴さんがそう言って、落ちた肉を拾い上げた。
「せっかく新鮮なものが手に入ったんだから、美味しくたべてあげないと……ね?」
ゾクッとする笑い方。
寒気が止まらない。イヤな考えしか浮かばない悪循環。
「わ、私……か、帰りますっ!」
怖さに耐えられなくなって急いでリビングのドアに向かうと、僅かに開いていたはずのドアがバタン!と勢いよく閉まった。
バクバクとうるさい心臓。
ドアをいくら押しても開かないし、ここから出られない。
なにかがオカシイ。ずっとずっと。
ガチャガチャとドアノブを壊れるぐらい動かしていると、昴さんの影が背後で近づいてきた。
「茉莉ちゃん、大丈夫だよ」
キッチンでは相変わらずグツグツと鍋が沸騰していて、換気扇が私の心臓よりもうるさく聞こえる。
怖い、どうしよう、どうしよう……。